ひとり歩きの中山道
馬籠宿〜妻籠宿
(1995.10.9)

 友人と昼神温泉2泊3日の旅に出かけた.その2日目に中山道の馬籠宿から妻籠宿の2里(約8km)を歩いてみる事にした.今回は“二人旅”である.

◇ 中山道 馬籠宿 ◇

 車を妻籠宿の町営駐車場に停め,おんたけ交通のバスで馬籠へ向かった.バスを陣場停留所で降り,馬籠宿を一旦東の入り口まで戻り,ここから,妻籠に向かって歩き始めた.
 馬籠宿は約500mにわたって,石畳の坂道と古い家並が続いている,石畳も建物も綺麗に整備されており,観光客目当のテーマパークのような感じで,妻籠とは対照的である.宿場全体が妻籠に向かって上り坂になっている.往時の旅人は時々振り返りながら美濃の国に別れを告げて,険しい木曽路に向かっていったのだろう.宿場の家並が途切れた所に「中山道馬籠宿 京に52里半 江戸に80里半」の道標がある.ここから馬籠峠に向かって更に急な坂道を上る.10月とはいえ体全体が汗ばんでくる.1時間ほどで坂をのぼりきり馬籠峠(標高801m)に着いた.峠の茶屋に入り名物の五平餅を注文する.本当はビールを飲みたいところであったが,この先の道中の事を考えて我慢する.

馬籠宿

馬籠宿の東の道標

 峠の茶屋で一息ついた後,妻籠に向かって歩き始める.ここから妻籠までは約5kmの道のりであるが,ほとんどが下り勾配で景色を楽しみながら楽に歩く事ができる.ところどころに石畳みの道が残り,木漏れ日がとてもやさしい.
 しばらく歩くと視界が開けた田の中の道となり一石栃白木改番所跡がある.これは木材が木曽から外へ出ないように監視した施設で,当時は無断で木曽の木材を持ち出せば「枝1本腕1本」,「木1本首1つ」という厳しい罰が科せられたそうである.しばらく歩いていると外国人の女性ウォーカーに出会った.外国の人がこういう日本を体験してくれるのがすごく嬉しい.程なく「男滝女滝」の看板があったので,ちょっと寄り道をして谷間に下りる.緑の木立の中に2つの滝があった.なんとなくひんやりとした空気の中で疲れがとれていくような感じだ.しばらく滝を眺めた後,中山道に戻り妻籠に向かう.

石畳の道

男滝

女滝

◇ 妻籠宿 ◇

 少し歩くと大妻籠の集落に出る.ここは民宿村になっており,秋篠宮様ご夫妻が学生時代に泊まった民宿「つたむら屋」もここにある.大妻籠まで来るとゴールの妻籠宿はあとわずかである.遠くの家並から立ち上る煙りになんとなくほっとする.
 妻籠宿に着いてまず,先ほどの峠の茶屋で我慢したビールを飲みながら“もう少し歩いても良かったかな”と思う.私が初めて旧街道を歩く快感を知った瞬間である.
 妻籠も馬籠や奈良井と同じ様に古い宿場町が保存されているが,馬籠や奈良井は整備され過ぎて,いかにも観光客を当てにしているといった感じがするのに対して,妻籠はそこに住む人のアイデンティティとして町並みを保存しているといった感じがする.古いものをどんどん捨てていったわれわれに警鐘をならしている様な気がする.

つたむら屋

もうすく妻籠

 わたしは,この旅がきかっけで中山道を歩き始めました.いわば「中山道ひとり歩きの原点」の記念すべき旅でもある.


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