軽井沢宿〜松井田宿
(2000.4.30〜5.2)

 2000年春の中山道ひとり歩きは,中山道の難所,碓氷峠越えをメインに4月30日から5月2日までの2泊3日の計画をたてた.

◆ 快速ナイスホリデー木曽路 ◆

 4月30日(日)晴れ.今日は長野までの移動だけなので,特急に乗らずに名古屋8時18分発の「快速ナイスホリデー木曽路」に乗った.この列車は休日だけ運転され,特急以外では名古屋から乗り換え無しで塩尻まで行ける唯一の列車である.列車は8両編成で後ろ4両が指定席になっていた.私の乗った自由席はほぼ満席で,ほとんどが行楽に向かう人のようであったが,中津川を出て最初の停車駅の田立でほとんどの人が下りた.JR東海主催の「さわやかウォーキング」という催しに参加するようだ.ハイキングやウォーキングのニーズがこんなにあるのに驚いた.
 さて,田立でほとんどの乗客が降りて,がらがらになった列車は,ところどころに桜が咲く木曽路を駆け抜け,11時20分に塩尻駅の4番ホームに到着した.ここから12時13分発の松本行きに乗り換え,12時27分松本駅に着いた.

◆ 山小屋の山菜ピラフと縄手通り ◆

 松本では,必ず行く場所が2つある.ひとつは駅前の山小屋という喫茶店である.ごく普通の喫茶店なのだが,学生時代から松本に来るたびに立ち寄っている.オーダーは特別に旨いという訳では無いが,決まって山菜ピラフである.仲間うちでは『山小屋の山菜ピラフ』で通じるほど有名である.今日の昼食も『山小屋の山菜ピラフ』で済ませることにした.
 もう一ケ所は松本城へ行く途中の女鳥羽川沿いにある縄手通りである.ここは1年中縁日の雰囲気が味わえる場所であったが,現在,女鳥羽川の修景工事の真っ最中で,それにともなって縄手通り界隈も工事が行われていた.入り口に近い一部分が完成していたが,小綺麗になっていて縁日という感じから離れてしまっていて,ちょっと残念である.
 これで一応私にとっての松本の定番が押さえられたので,15時19分発の長野行き快速で今日の宿泊地,長野へ向かった.長野ではこの先の道中の安全を願って善光寺へ詣でてから,長野駅前のホテルサンルート長野へチェックインした.

松本の縄手通

善光寺仲見世通り

松本の縄手通

夕暮れの善光寺仲見世通り

◆ 軽井沢宿から碓氷峠 ◆

 翌5月1日,長野の空は曇っていたが,それでも事前の天気予報よりは良い天気になった.8時18分発のしなの鉄道で長野を発ち,9時39分に軽井沢へ降り立った.空気がちょっとひんやりしていて気持ちがいい.天気予報によると今日の軽井沢の予想最高気温は15℃だそうだ.めざす碓氷峠の方向はところどころ青空も見え,まずまずの天気のようだった.
 9時50分頃,駅前の三笠通りを北へ歩き始め,旧軽ロータリーを右に折れると旧軽銀座と呼ばれる通りにでる.東京の原宿のような感じで,ブティックや喫茶店が並ぶ.今でこそ若者の町になってしまったが,ここが中山道軽井沢宿である.むかしも今と同じように賑わっていたことだろう.旧軽銀座のいちばん奥にショーハウスがあるが,ここから先はバードウォッチングか私のように歩いて碓氷峠へ上ろうという人しか行かない様で急に人影が少なくなった.
 いよいよここから碓氷峠への上りである.初めのうちは道幅が広かったが,進むにつれて道が狭くなった.しかし,木々にまだ葉が生えていないため,見通しが利き,そのためあまり恐さは感じなかった.そして,11時15分,軽井沢駅(標高約940m)から約1時間30分で見晴台(標高1205m)に着いた.
 見晴台は,長野県と群馬県の県境に位置し,別名「サンセットポイント」と呼ばれており,特に夕陽が美しいとのことである.残念ながら私は夕陽は見ることができなかったが,それでも雪が残る浅間山などの姿を見る事ができた.ここから程近いところに熊野神社がある.ここは社殿が長野県と群馬県にまたがって建っている事で有名であり,社の前が碓氷峠(標高1190m)で,「上信国境」の碑が建っていた.

旧軽銀座から碓氷峠方向 軽井沢から碓氷峠への旧中山道 見晴台から見た浅間山

旧軽銀座から碓氷峠方向を望む

軽井沢から碓氷峠への旧中山道

見晴台から見た浅間山

◆ 碓氷峠から坂本宿を経て横川 ◆

 碓氷峠を坂本に向かって下り始める.峠を下ると思われる道が数本あり,どれを進んで良いのかちょっと迷った.1本が中山道.もう1本が和宮道でこの2本は途中で1本になる.そして,他に碓氷川源流と書いた道がある.更に,「この先行き止まり」という標識の道もあり.道を間違えると大変な事になりそうである.手元の地形図と実際の道を比べながら進路を決めていった.
 下りは上りの長野県側と違ってあまり見通しが利かなかった.峠をはさんでこんなに植生が変わるのに驚いた.途中でご夫婦?で歩いている人を追い越した.近くに同じように歩いている人がいるというだけで,心強い気がした.道の部分が周囲より低いところは,雨が降るとそこを水が流れ,川に変わってしまうみたいで,もし歩いている最中に大雨が降ってきたら,道を見失う可能性が大でありちょっと恐ろしい気がした.
 熊野神社を出発して1時間20分ほどで「座頭転がし」と呼ばれる急坂へ出た.しばらく行くと木々の間から眼下に,信越本線(旧線)の煉瓦造りの橋梁が見え,13時50分頃に弘法の井戸に着いた.ここは弘法大師が掘り当てたと伝えられる井戸で,いまでも手が届きそうなところに水面があった.そして,眼下に坂本の宿場が一望できるところに出た.昔の旅人は,この景色を見て,「もう少しで坂本の宿場だ」あるいは反対に坂本宿に別れを告げたりしたのだろう.石がゴロゴロする急坂を降りて行き.14時30分頃に旧国道18号線に出た.坂本宿まであとわずかである.
 坂本宿は軽井沢方向に緩やかな坂になった宿場で,宿場のまん中を旧国道18号線が通り,あまり風情が感じられないが,古い建物が数軒残っていた.坂本宿を抜けて15時15分頃に横川の碓氷関所跡(標高約400m)に着いた.けさ軽井沢駅を出発してからおよそ5時間30分が経過していた.

中山道を歩いていたご夫婦? 眼下に見る坂本宿の家並 碓氷関所跡

中山道を歩いていたご夫婦?

眼下に見る坂本宿の家並

碓氷関所跡

◆ 碓氷峠鉄道文化むら ◆

 さて,ここで碓氷峠鉄道文化むら(Poppo Town)へ立ち寄った.ここは信越本線の横川―軽井沢間が廃線になったのをきっかけにできた鉄道のテーマパークである.広い構内に実物の鉄道車両が展示されていたり,碓氷峠の鉄道の歴史を紹介するコーナーがあったりと,鉄道ファンならずとも男性ならきっと興味が尽きないと思う.
 横川といえば峠の釜めしが有名であるが,今,関東から軽井沢以遠へ行く人はほとんどが長野新幹線を利用するようになって,横川で電車をおりる人はめっきり減ってしまった.そのため駅のホームの立ち売りの人もちょっと手持ちぶさたみたいで寂しそうであった.
 Poppo Townを後にして,横川発16時23分発の高崎行きの電車で,2日目の宿泊地の高崎に向かった.電車が横川を出た時は空席が目立っていたが,途中の駅で高校生や大学生?でほぼ満員の状態になって,16時55分に高崎に着いた.そして,高崎駅にある「ホテルメトロポリタン高崎」にチェックインした.

◆ 横川から松井田宿 ◆

 3日目(5月2日).天気予報では夕方から雷雨とのこと.なんとか午前中は天気が持ちそうな様子だったので,再び電車で横川へ戻り,中山道を昨日の続きで松井田宿まで歩く事にした.電車が横川に近づくにつれ空模様が怪しくなってきたが,なんとか雨は降らずにいた.
 横川に9時13分に着き信越本線の北側の中山道を東に歩き始めた.そして踏切で思いがけないものを見つけた.信越線の旧線で使われていたラックレールである.信越線の横軽間は66.7パーミル(66.7/1000)の勾配が約8km続くため,昔は2本のレールの間にラックレールと呼ばれるぎざぎざのレールを敷いて,機関車の歯車と噛み合わせながら上って行った(アプト式)が,そのラックレールが踏切の側溝の蓋として利用されていた.
 その後,横川から約45分で五科の茶屋本陣に着き,松井田の宿場に11時過ぎに入った.ここも宿場のまん中を旧国道が通っており,昔の面影はあまり残っていないようであった.松井田宿は次回この続きを歩く時にゆっくり見ることにして,松井田11時39分発の信越線の横川行きに乗るため,大急ぎで松井田駅へ向った.途中で道を間違えたらしく,地図の上では左にあるはずの信越本線の線路が右手にあって慌てたが,息をきらせながらダッシュして何とか列車に間に合った.

踏切で見つけたラックレール 五科の茶屋本陣

横川の踏切で見つけたラックレール

五科の茶屋本陣


◆ 旅の仕上げは温泉と地ビール ゆうふるtanaka ◆

 横川には11時49分に着き,駅前から12時発の軽井沢行きのバスに乗った.バスは60〜70%の乗車率であった.旧道を通って軽井沢まで行く.途中,廃線になった信越本線の線路が見えかくれしており,通称めがね橋(碓氷第三橋梁)も間近に見る事ができた.信越本線のこの区間はおよそ2年半前に廃線になったが,架線を張るポールも架線もそのまま残っており,すぐにでも列車を走らせることができそうな感じであった.京都の山陰本線の旧線を使った嵯峨野観光鉄道の様に,観光列車を走らせたら…と思った.バスは坂を上りきると程なく軽井沢駅に着いた.
 旅の仕上げは温泉とばかりに,しなの鉄道田中駅前の温泉健康複合施設「ゆうふるtanaka」に立ち寄った.ここは去年できたばかりの温泉を核とした健康施設で,温泉の他,プールやトレーニングジムなどがある.平日のため人が少なくのんびり温泉に浸かる事ができた.そして湯上がりに地ビール(500円)とざるそば(350円)を注文した.地ビールはさっぱりした味で飲みやすく,そしてざるそばはそば湯まで付いた本格的なもので,さすが蕎麦どころといった感じであった.
 温泉とビールでぽっかぽかになったあと,長野発19時32分のしなの32号で名古屋に戻ってきた.

めがね橋 ゆうふるtanaka 蕎麦と地ビール

信越本線(旧線)の通称めがね橋

ゆうふるtanaka

蕎麦と地ビール(ゆうふるtanaka)

所要時間

軽井沢〜横川:約5時間30分
横川〜松井田:約2時間


関連サイト

JR東海さわやかウォーキング

JR東海の誰でも参加できる日帰り旅行.

峠の釜飯のおぎのや

横川の名物といえばこれ.今は横川駅でおりる人が少なくなって,駅の立ち売りの人も寂しそうでした.

Ver. 1.1(2000.5.13)


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