大湫宿〜御嵩宿
(2002.9.14)

◆ ネットの情報の利用は自己責任で… ◆

 中山道踏破まで残すところ大井〜御嵩間と,石山〜三条間の2区間になった.石山〜三条間を最後に歩き,三条大橋でゴールインを決めることにしているので,その前に大井と御嵩の間を歩くことにした.
 この区間が最後まで残ったのには訳がある.大井と御嵩の間は8里もあり,尾根伝いの起伏があるコースでなので,ちょっと1日で歩くのは難しい.間に大湫,細久手の2宿があるが,交通の便が非常に悪い.細久手宿の老舗旅館,大黒屋に泊まって,1泊2日で歩くのが一番良さそうなのだが,途中で宿をとると,2日目は雨が降っても歩かなければいけないという問題があり躊躇していた.そんな折,瑞浪駅から細久手へコミュニティバスが走っている,という情報(実は,この情報が間違っていた)をインターネットで入手したので,さっそく9月14日(土曜日)に歩きに出かけた.

 JR中央本線の瑞浪駅に8時19分に着き,ネットの地図閲覧サイトであらかじめ調べておいた駅前のコンビニエンスストア(ローソン)で,ペットボトルの飲料水と昼食用のおにぎり,そしてカロリーメイトを買う.ここまでは予定通りであった.あとは8時40分に駅前から細久手行きのバスに乗れば,9時14分に細久手へ着くはずであった.ところが…である.バス乗り場へ行って時刻表を見ると,そんなバスは載っていないではないか!「9月1日ダイヤ改訂」とあったので,夏休み中だけの便だったのかも知れない.さて,さて,どうしたら良いものか…?と思案した結果,(1)細久手までタクシーに乗る.(2)隣の釜戸駅まで電車で行って,大湫まで約4kmを歩く.の2つに1つということになった.結局(2)の釜戸駅まで電車で行って,大湫まで約4kmを歩く方を選んだ.

 駅に戻り,瑞浪8時48分発の中津川行きに乗って約5分で釜戸駅に着く.駅を出ると,客待ちのタクシーも見当たらない狭い駅前広場に,旅館の名前が並んだ「歓迎」のアーチが寂し気に立っている.どうやら駅から近いところに温泉があるようである.歩き終えた後のひとっ風呂は最高であるが,今はそんな場合ではないので,アーチをくぐって最初の道を右に折れる(ここに,コンビニがある).JRの線路の下をくぐって国道に出て,大湫まで4kmという標識のある交差点を曲がる.ここから急な上り坂が延々続く.釜戸駅あたりの標高は約210m,大湫あたりが約500mなので,約300mを登ることになる.何台もの車に追いこされながら,歩く人は1人も見ない.多分こんなところ歩いているのは自分だけだ…と思いなが歩く.途中,大湫病院のマイクロバスを何回も見た.頻繁に往復しているようである.そして,約45分で坂を登り切って,平坦な道に出る.ペットボトルの飲料水を飲んで一服.そして10時丁度に大湫宿の西の高札場に着き,やっとスタート地点に立った.が,体力はかなり消耗してしまっていた.

大湫宿高札場 琵琶峠へ登る石畳 八瀬沢一里塚

◆ 日本一の石畳を歩く ◆

 大湫宿の高札場の前で,ここからどちらへ向けて歩くかという難問にぶつかった.東へ向かえば大井宿まで3里半.西へ向かえば細久手宿まで1里半,更に御嵩宿までは細久手から3里もある.ここまで登ってくるのに,すでに体力をかなり消耗しており,できれば楽な方を歩きたいところであるが,ここは頑張って距離の長い御嵩宿へ向かって歩くことにした.

 10時すぎに歩き始めてすぐに,歌川広重が木曽海道六拾九次の大久手の絵を描いた地点とされる場所に出る[10:10].ここは小さな公園になっており,あずまや風の休憩施設もある.さらにその先に母衣岩と烏帽子岩という名の大きな岩が2つある[10:14].中山道二つ岩で,夫婦岩とも呼ばれている.昔は街道筋にある大きな岩というのは,名物になったらしく,他にも下諏訪と塩尻の間に大岩というのがある.
 大湫病院の前を過ぎると,琵琶峠の登り口に出る.ここから約600m,日本で一番長い石畳の道が始まる[10:19].約10分で峠の頂上に着く.頂上付近は人がやっとすれ違えるほどの幅しかない.大名行列や和宮降嫁の一行は,さぞ難儀しただろう.峠には和宮が詠んだ「住み馴れし都路出でてけふいくひ いそぐともつらき東へのたび」の歌碑がある.ここから道は下りになるが,きのうの雨せいで,石畳が滑りやすくなっているので,足元に注意しながら下る.程なく八瀬沢一里塚に出る.江戸から91番目の一里塚である.一里塚につきものの榎等の木は植えられておらず,はげ山のようであるが,山中にあるので,この方がかえって目立つ.この中山道の大井と御嵩の間は,一里塚が4つ連続して往時のままの姿で残る.石畳の道を下り,旧道が車道と交差する手前に東海自然歩道琵琶峠公衆トイレがある.ログハウス風の建物で,管理も行き届いており衛生的であった.その先にも石畳は続き,八瀬沢集落に出る.ここからしばらくは一般道を歩く.
 犬の訓練施設の間を抜けると,また少しづつ上りになり,変形四叉路に出る.東海自然歩道は斜め右に入る道を行き,北野神社を経て弁天池へ出るが,中山道はまっすぐ進む.上り切る少し手前に弁天池という小さな池がある[11:19].池の中に小さな祠があり,弁財天が祀られている.池にはピンク色の蓮の花が咲いていた.尾根伝いの道の途中にある池として,往時は珍しがられたらしい.15分ほどで奥ノ田一里塚に出る[11:36].ここも塚には木が植えられていない.尾根伝いの舗装路を歩いていくと,どこからか車のエンジンのうなり声が聞こえてくる.この森の中に瑞浪モーターランドというサーキットがある.そして,正午前に細久手宿に入った.

まだまだ続く 琵琶峠の石畳 弁天池 奥ノ田一里塚

◆ 一度は泊まってみたい,尾張藩定宿 大黒屋 ◆

 細久手宿内には街道時代を偲ばせるものはほとんど残っていないが,公民館(トイレあり)の前の駐車場の向いに大黒屋という旅館がある.ここは尾張藩の指定宿で現在でも当時の姿のまま営業を続けている.大井宿と御嵩の間を1泊2日で歩く場合には,ここで泊まると良いだろう.一度は泊まっておきたい宿である.大黒屋の前の駐車場で腰を降ろして,瑞浪駅前で買ったおにぎりを食べた.食事をしながら大黒屋の方を見ていると,宿内の道をモーターランドへ向かうスポーツカーがひっきりなしに走って行く.事故が起きなければ良いが…と思う.
 腰をあげて再び歩き始めると,こんどは大型の観光バスが来た.どうやら中山道400年を記念してのツァーのようである.とうとう中山道もバスツアーの時代がきたか….宿を出たあたりで先ほどの観光バスの乗客と思われる団体に出逢った.史跡の前で専門家の説明を聞いているようであった.道は途中で大型車両通行止めになり,左手に厩舎を見ながら歩き,坂を下ると平岩の集落に出る.前方に急な上り坂の鋪装された道が見える.中山道はこの坂を途中まで登る.
 坂の途中で左に入る未舗装の道がある.中山道はこの道を行く.ここに「左 中仙道西の坂」と書かれた道標が立つ.まだ,まだ上り坂が続く.右手に秋葉坂三尊がある.道中の安全を祈って約200年前に建てられた穴仏三尊である.8分ほどで鎌倉街道との追分に出る.更に7,8分で鴨ノ巣一里塚[0:55].ここの一里塚には木が植えられている.
 鴨ノ巣一里塚を過ぎると,道はだんだん細くなり,荒れてくる.津橋の集落に降りる手前には,とうとう獣道の様になり,最後は生い茂る草を掻き分けながら進んで津橋の集落に出た.

 津橋の公民館の前で小休止をとって,歩き始める.未舗装の旧道に入ると,かなり急な上りになる.これが最後の登りである.途中で坂を降りてくるマウンテンバイクとすれ違う.坂を登り切った場所から,短い階段を上がると展望台があり,そこにノートが置いてあったので,今日の予定と名前を書き込んだ.パラパラとページをめくると,中には1日で大井から太田まで歩くという強者もいた.
 坂を下りはじめると,左手にラ・プロヴァンスというケーキ屋さんがある.前日までに予約すれば,ランチも食べることができるらしい.街道沿いに食事ができるところがないので,利用してみても良いだろう.県道に出たところに,一呑の清水がある[14:04].このあたりは水が湧くところが多いようである.一呑の清水からは県道をしばらく歩き,ふたたび左手に入って行くと,十本木の一里塚跡がある.ここには1973年(昭和48年)に復元された一里塚が立っている[14:18].その先から謡坂の石畳が続く.途中で親子と思われる女性の二人連れが昇ってきた.
 県道に出ると右側に耳神社がある.耳の病気にご利益があるという神社なので,耳が悪い私は急な石段を登って,手を合わせた.耳神社の先で斜め右に入って行く.そして国道21号線に出たあたりに,和泉式部の廟所がある[14:59].しばらく国道の歩道を歩き,国道の左側に新しい道標が見えたら,左に入り[15:16],しばらく行くと御嵩宿である[15:30]

 今回歩いた区間は,距離は少し長いのですが,石畳や一里塚が残っており,お勧めのコースの一つです.瑞浪から細久手までタクシーに乗れば,ちょうど良い距離です.ぜひ歩いてみて下さい.

大黒屋(細久手宿) 秋葉坂三尊 鴨ノ巣一里塚


■所要時間 大湫宿→御嵩宿まで約5時間半(尚,釜戸から大湫までは約1時間)


スーパー,コンビニ情報

瑞浪駅前

駅前にローソン.駅舎内にもコンビニがある.

釜戸駅前

駅前のアーチのある道を行き,最初の角を右に曲るとCoCo.

交通情報

大湫宿

JR中央本線釜戸駅からタクシー(7分,但し,駅に客待ちのタクシーは停まっていませんでした).私は釜戸駅から歩きましたが,約1時間,急な上り坂が続きます.

細久手宿

JR中央本線瑞浪駅下車.駅前から東鉄バスで30分(但し,平日しか走っていない).
タクシーは駅前に待っている.

御嵩宿:名鉄広見線御嵩駅下車.駅前の道が中山道.


2002年 12月 8日 (日)作成

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